UNHCRは、アフリカの難民、避難を強いられる人々に対するエムポックス(MPOX)の影響を懸念し、包括と国際的な連帯を呼びかけます

本稿はジュネーブの国連欧州本部(パレ・デ・ナシオン)で行われた記者会見におけるUNHCR公衆衛生チーフ、アレン・マイナ医師による報告の要約です

公開日 : 2024-09-02

ジュネーブ(スイス)2024年8月27日 ― UNHCRは、緊急の追加支援がなければ、コンゴ民主共和国をはじめとするアフリカ諸国の難民や避難を強いられている人々は、最近宣言されたエムポックス*の流行によって、壊滅的な打撃を受ける可能性があると警告しています。
(* オルソポックスウイルス属のエムポックスウイルスによる急性発疹性疾患。感染症法では4類感染症に位置付けられている)


コンゴ民主共和国の南キヴ州は、エムポックスの被害が最も大きい地域の1つであり、難民の間で少なくとも42人の感染者が確認されています。コンゴ共和国とルワンダの難民でも、感染ケースおよび感染の疑いが記録されています。

世界保健機関(WHO)によると、コンゴ民主共和国では、現在までに1万8000件以上の感染の疑いと615人の死者が確認されており、コンゴ民主共和国の近隣諸国では220人以上の感染患者(クレード1b)が確認されています。

コンゴ民主共和国の国内避難民730万人の大半を受け入れている紛争の影響を受けた各州で、感染が疑われるケースが報告されています。これらの地域では、数十年にわたる紛争、強制避難、著しい人権侵害、国際支援の欠如によって打ちのめされている人々にとって、すでに不可能な状況をさらに悪化させる恐れがあります。

 

暴力から逃れてきた人々にとって、多くのエムポックス予防策を実施することは、果てしなく困難です。長年にわたって周期的に勃発する暴力や攻撃、さらに自然災害によって、避難を強いられる人々は劣悪な水や衛生設備、疲弊したサービスしかない過密なシェルターに追いやられてきました。情勢不安によって多くの地域が人道支援を遮られてきたのです。

混雑した学校や教会、農家の畑のテントで暮らす避難家族は、病気の症状が出ても隔離する場所がありません。感染者の中には、予防措置に従い、外で寝ることで自分たちのコミュニティを守ろうと懸命に努力している人もいることを、UNHCRスタッフは目撃しました。バランスの取れた食事も回復には不可欠ですが、わずかな食料配給で何とか日々をしのいでいる避難者の多くには、現実的に手が届きません。感染が疑われるケースの迅速な検査が重要ですが、コンゴ民主共和国東部の情勢が不安定な地帯では、安全上のリスク、そしてサンプルを検査施設まで運ぶのに遠回りのルートを利用する必要があるため、遅れが生じ、感染の連鎖を断ち切るために検査結果を有効活用することができません。

UNHCRとパートナー団体は、各国の保健当局の下、WHOと協力し、難民キャンプや一時滞在センターの公共スペースに手洗い場を増設し、影響を受けている難民キャンプの入口でのスクリーニングを含む保健システムの準備と対応策を拡大しています。

国民の間で症状が確認された、あるいは疑われる国では、避難者のコミュニティが使用する言語で正確な情報を入手できるよう、情報提供と啓発活動が開始されていますが、発生の規模が拡大しているため、地域医療従事者の数が不足しています。

UNHCRは、モニタリング、準備から医療ケアまで、この公衆衛生の緊急事態に対処するための国家の準備と対応策に、難民やその他の避難者が完全に含まれることを保証することが極めて重要であることを改めて訴えています。UNHCRは、影響を受け危険な状況にある国々での準備を支援できる体制ができています。UNHCRは、コンゴ民主共和国がすでに国家的な準備と保健対応計画に難民を取り込んでいることを称賛しました。

コンゴ民主共和国におけるUNHCRの人道支援対応は、避難を強いられる人々の緊急ニーズを満たすために2024年に必要とされる2億5000万ドルのうち、わずか37%しか充足されておらず、保健活動は計画の中で最も資金が不足している3つの分野の1つです。

避難を余儀なくされた人々へ、保健サービス、隔離センター、人道支援シェルター、水や石けんへのアクセスを拡大するために、国際的な連帯が緊急に必要とされています。紛争地域では、疾患の蔓延を食い止めるための持続可能な対応を確保するためにも、平和が切実に求められています。

原文はこちら(英文)
Concerned over impact of mpox on refugees and displaced in Africa, UNHCR calls for inclusion and international solidarity


UNHCRの難民支援

こうしている今も、多くの人々が家を追われています。そして紛争や迫害のみならず、気候変動による洪水、干ばつといった自然災害や食料不安も避難の大きな要因となっています。厳しい情勢が今現在も進行する中、一人でも多くの命を安全に保護するため、UNHCRは現地で援助活動を続けています。

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