
2023年末時点で故郷を追われた人の数は約1億1740万人。また、故郷を追われた人々の約40%が18歳未満の子どもです。難民の大多数は近隣国で受け入れられており、その国々の所得を合わせても全世界の所得の20%に満たない、低中所得国で75%が暮らしています。*。
UNHCRの支援対象者は約1億2260万人*となり、過去最高だった前年をさらに更新。スーダン、コンゴ民主共和国、ミャンマー等で続く紛争、ウクライナでの戦争の長期化、アルメニアの情勢悪化等によってさらに多くの難民・国内避難民等が故郷を追われています。
* Global Trends Report 2023より
避難の旅を強いられる人々が増え続ける中、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は「紛争、人権侵害、そして気候変動に対処するため、さらなる協力、一致団結した努力が必要であることは明白です。そうしなければ、強制移動は増え続け、より一層の悲劇につながり、人道支援に必要な資金が拡大を続けることになります」と訴えます。
そして、2024年5月、避難を強いられる人の数は1億2000万人に達しました

新たに勃発した紛争、変化しながら続く紛争に加え、長期化した危機が解決にいたっていないこと等により、避難を強いられる人はさらに増加。その数は2024年5月時点で1億2000万人に達しました*。UNHCRは2023年、43の緊急事態に対応。緊急事態が世界各国で発生する中、UNHCRの支援が世界各地でかつてないほど必要とされています。
(* 2024年6月13日UNHCR本部プレスリリースより)
こうしている今も、多くの人々が家を追われています。そして紛争や迫害のみならず、気候変動による洪水、干ばつといった自然災害や食料不安も避難の大きな要因となっています。厳しい情勢が今現在も進行する中、一人でも多くの命を安全に保護するため、UNHCRは現地で援助活動を続けています。
難民支援の今 ― 世界で何が起きているのか?
アフリカ:
スーダンでの武力闘争の勃発、アフリカ各地での自然災害

2023年4月に勃発したスーダンでの武力闘争により、数百万人が国内外で避難を強いられ、その年最大の避難危機の1つとなりました。しかし、チャドや南スーダン等、近隣国は寛容にも門戸を開放し、多くの難民を受け入れています。また、コンゴ民主共和国やモザンビークでの暴力行為が激化し、多くの人々が避難を強いられています。
加えて、気候変動の影響はアフリカに大きな影を落とし、ケニア等の「アフリカの角」地域等では大規模な洪水に見舞われ、地元の人々のみならず難民にも大きな被害をもたらしました。
この地域における危機は世界から注目が集まらず、深刻な資金不足が続いていますが、UNHCRはパートナー団体と協力し、逃れて来た人々を保護し、緊急支援を提供するのみならず、自然災害の被害に遭った地域での森林再生活動、民間企業等と連携したソーラーエネルギーへの投資、教育やコミュニケーションの促進、そして無国籍者への証明証発行等といった援助活動を展開しています。
アメリカ(中南米):
南米最大の危機が続くベネズエラ、そして中米の情勢不安

ギャングによる迫害や暴力行為、人権侵害、経済危機、ウクライナ情勢の世界経済への影響、加えて厳しい気候変動の影響が相まって、2023年もこの地域では多くの人々が避難を強いられました。
政情不安と食料難に苦しむ南米ベネズエラからは今も数百万人が避難を強いられており、さらに中米エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグアでもギャングによる暴力や人権侵害により避難危機が続いています。また、カリブ海沖のハイチでもギャングによる暴力、情勢不安により多くの人が避難を強いられています。そんな中、2024年4月にはブラジル南部リオグランデドスル州で大規模な洪水が発生。UNHCRは救援活動を開始しています。
現在も危機的な状況が続く中、UNHCRは、保護に配慮した入国システムの強化、庇護へのアクセスの確保、法的支援や現金給付を実施しています。
アジア・太平洋:
忘れられた危機となりつつあるアフガニスタン、ミャンマー

2021年8月の政権移行以来、政情不安や貧困、そして食料難が悪化するアフガニスタンでは、気候変動による干ばつや洪水、そして大規模な地震に近年苦しんでおり、多くの人々が危機的な状況に追い込まれています。また、隣国パキスタン等から非正規滞在のアフガニスタン人の帰還が強いられており、UNHCRは国境付近等で緊急援助を展開しています。
さらに2021年2月以降混乱が続くミャンマーでも情勢が悪化し、武力衝突、空爆、無差別砲撃、放火、インフラの破壊により、多くの民間人の命と生活が危険にさらされています。バングラデシュでも、2017年以降、避難危機が続くロヒンギャ難民への支援も継続。厳しい資金不足が続く中、生活支援や教育支援、自然災害への対応等といった援助活動を実施しています。
ヨーロッパ:
ウクライナの戦争、アルメニア情勢悪化、そして今も続く地中海危機

2022年2月に勃発したウクライナの戦争は終結することなく、今現在も数百万人が国内外で避難を強いられています。また、2023年9月末には敵対行為の激化により、アルメニアに避難を強いられる難民が急増しました。
日本では報道されることが少なくなった地中海危機は今も続いており、暴力行為が横行するアフリカのサヘル地域や気候変動に脅かされるアフリカ東部、そして武力闘争が勃発したスーダン等から、2023年も多くの難民・移民が危険な海を渡り、そしてその過程で命を奪われています。UNHCRは逃れて来る人々を守るため、ニジェールやルワンダへの難民の移送、LGBTIQ+難民のための社会統合、難民主導の組織を通して保護等の活動を活性化させています。
中東・北アフリカ:
長期化するシリア、イエメンの危機

この地域における政治/経済不安は続き、食料と燃料の価格上昇により多くの難民・国内避難民等が、より厳しい避難生活を強いられています。特に、経済危機が続くレバノンでは、シリア難民の90%近くが極度の貧困状態にあり、生き延びるための援助が不可欠です。加えて、2023年2月のトルコ・シリア大地震では、今も多くの被災者が避難生活を送っており、10年以上続くシリア危機に加え、人々を更なる窮地に追い込んでいます。また、「世界最悪の人道危機」と言われながら「忘れられた危機」とされるイエメンでは今も1000万人以上が人道支援を必要としており、子どもたちの栄養失調等が大きな問題となっています。
2023年には新たな緊急事態が相次いでこの地域を襲い、モロッコとリビアでの自然災害、スーダン危機による難民のエジプトへの流入等、既存の危機に拍車がかけられています。
UNHCRは難民支援の最前線で援助活動を続けています
2023年にUNHCRが供給した主な緊急支援物資

- 家庭用テント:5万7000張
- 毛布:250万枚
- 給水容器:46万個
- 蚊帳:63万8000張
- ビニールシート:120万枚
- バケツ:21万8000個
- ソーラーランプ:52万5000個
- 調理器具セット:50万6000家族分
- 就寝用マット:130万枚
* 日本を含む全世界からの寄付金による支援の一例です
紛争や迫害等の緊急時において、UNHCRは逃れてきた人々の命を守るための援助活動を行い、テント、毛布、水、食料、医薬品、生活用品等の援助物資を提供。また、十数年に及ぶこともある避難生活の間、学校に行けなくなってしまった子どもたちのための教育支援、家族を失い社会的・経済的弱者となった女性、故郷に戻れず生計を立てられなくなった人々のための女性支援・自立支援を実施しています。

難民の命と尊厳を守るため、すべての人たちが安心して暮らせる日まで
難民とは、紛争や迫害、人道危機により生命の安全を脅かされ、他国に逃れなければならなかった人々です。

2023年もたくさんの皆様にご支援を賜りながらも、増え続ける難民・国内避難民、そして彼らを受け入れるコミュニティへの援助に必要な予算が不足しており、援助へのニーズの高まりに対して、現在も予算が十分に確保されていない、危機的な状態が続いています。
UNHCRは紛争や迫害によって故郷を追われる人々がいる限り、いつ、どこであっても、命を守り、尊厳と希望を取り戻すため、現地で活動を続行していきます。避難生活が十数年以上に及ぶこともある中、皆様からの安定したご支援・ご寄付があることで、UNHCRは援助計画の展望を描くことができます。
世界の難民をご支援いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
あなたのご支援でできること
※1ドル=149円換算、1年続けていただいた場合

マラリア等の感染症対策に不可欠な蚊帳 約74家族分

清潔な水を運ぶためのプラスチック製バケツ 約85個分

暗闇の中でも生活できる携帯充電器付きソーラーランプ 約37個分
- 当協会へのご寄付は、寄付金控除(税制上の優遇措置)になります。お送りする領収証は確定申告にご利用いただけます。
- ご支援者の皆様にはメールニュース、活動報告等を送らせていただき、難民支援の「今」、そしてUNHCRの活動を報告させていただきます。
- Webでご寄付いただく際の皆様の個人情報はSSL暗号化通信により守られております。
*皆様のご支援は、UNHCRが最も必要性が高いと判断する援助活動に充当させていただきます。

