「難民について伝えるスキルアップセミナー」【2020年度秋実施報告】|国連UNHCR協会
公開日 : 2021-02-03
概要
国連UNHCR協会が企画・運営している「難民についての教材活用セミナー」が、2020年秋に、「難民について伝えるスキルアップセミナー」として生まれ変わりました。
今回は、UNHCR駐日事務所の協力とJICA地球ひろばの後援をいただき、コロナ禍のなか、3日間構成のオンラインで実施致しました。
3日間それぞれ異なるテーマで実施し、各日ゲストの方々の登場でより深い学びの時間が実現しました。
10/18(日)「いのちの持ち物けんさ」/ UNHCRの難民支援
「いのちの持ち物けんさ」をオンラインで実施し、解説を行いました。このセッションでは、このワークショップをアレンジして高校で実施していただいた現中学校の教員の方に実践報告をいただきました。
後半は、難民問題とUNHCRの基礎知識に加え、これをどのようなかたちで教育現場に活かしていくかの解説を行い、当協会や駐日事務所が行っている取り組みを紹介し、そのなかでも、2020年初夏に行われた「ユース難民アートコンテスト」でグローバル賞を受賞した高校生によるスピーチが行われました。<
また、本編終了後は、UNHCRコロンビアの丸山職員による特別セッションを実施、自然発生したディスカッション含め非常に盛況でした。
11/8 (日) 「あるものないものワークショップ」/ Youth×UNHCR for Refugees
アイスブレイクとして、初日の振り返りと「いのちの持ち物けんさ」ライト版を実施し、つづいて「あるものないものワークショップ」の実践と解説を行いました。解説後は、本ワークショップを活用して、保健体育のプログラムを実施していただいた中学校の教員の方に実践報告を行っていただきました。
後半は、Youth×UNHCR for Refugeesの代表が、日本各地の難民支援の学生団体のプラットフォームであるこの取組について解説し、質疑応答は本編終了後も続きました。
11/29(日)「サトちゃんの大切なもの」/ RHEP学生による講演
アイスブレイクとして、1・2日の振り返りと「いのちの持ち物けんさ」ライト版を実施し、つづいて新作となる「サトちゃんの大切なもの」の実践と解説を行いました。解説後は、本ワークショップの開発に協力いただいた小学校教員の方の実践報告を行っていただきました。
後半は、RHEP(難民高等教育プログラム)で学ぶ難民の学生によるこれまでの経験や現在の活動についての講演があり、これまであまり聞いたことがない話に大きな反響が生まれ、質疑応答は本編終了後も続きました。
今回は3日間で、のべ230名の方にご参加いただきましたが、大学生を中心に若い世代の方々も多く、これまで行ってきたセミナーにまた新たな展開が生まれる予感がしました。
参加者の声
以下にアンケートでいただいたお声の一部を抜粋し掲載させていただきます。
☆『いのちの持ち物けんさ』(1日目)
・私は学校職員で、大学生2人と組んでいただき、大学のイベントとして開催するイメージがわいた。持ち物が青→黄→赤になるにつれて、少しずつ気分が沈んでしまうことも体感できた。いかに、今の自分の持ち物がかけがえのないものか実感することができた。
・以前から一度参加したいと思っていました。今回オンラインだとどのようにしてワークショップをするのかと思いましたが、大変によく考えられいて、感心しました。
・難民の方のは今の自分では想像もできない状況を経験してこられたと思うが、自分の持ち物に置き換えて考えることで難民の方々の気持ちを想像しやすかったと思います。
☆『いのちの持ち物けんさ』の解説(1日目)
・いろいろな実践例を知ることができてよかったです。
・知っている情報はもちろんのこと、映像を交えた説明だったので現実感があった。
・わかりやすく解説していただき、少しでも自分事として考えられました。
☆UNHCRと難民問題の現状(1日目)
・難民問題についてとても興味を掻き立てられる説明でとても参考になりました。
・以前に受けた時よりも、より分かりやすくリアリティを持って伝わってきました。
・難民問題が予想以上に深刻で、解決しなければならないと思った。先進国の人々も他人事と思ってはいけないと思った。難民のたくましさに驚いた。
☆学習を深める視点とツール(1日目)
・教員として伺いたいところでしたので、大変勉強になりました。
・昨今の社会課題と難民の関連について、わかりやすく説明していただき概要がつかめてよかった。これからより知っていきたいと思った。
・自分のこととしてとらえるきっかけとしては良かったと思います。難民を発生させないようにするところのアプローチが無いと、問題は広がる一方だと思います。
☆WILL2LIVEや若者が中心の活動について(1日目)
・小学校高学年や、中高生に見せたい姿だと感じました。
・私も参加したいです。
・若者がどのように参加できるかどうか、これから検討している学生にとって参考になったのではないかと思う。<
☆UNHCRコロンビア職員セッション(1日目)
・実際に現場で難民の方々と関わっていられる方の話は説得力があって本当に貴重なお話を聞くことができて、参加してとてもよかったと感じました。
・やはり、現場の方の声が聞けるのは、心に響きます。他団体で寄付活動をしていましたが、UNCHRでもと感じたほどでした。
・活動内容も具体的でよくわかりました。また体験談もとても印象的でした。あと話方もお上手で、もっと話を聞きたくなりました。
・実際に難民の方々と関わっている方の話は自分にとってはすごく貴重でした。たくさんの人を助けるから全員のことをはっきりと覚えているわけではないが、以前に関わった人がお礼をいってきてくれるときは嬉しいとの話がありましたが、それがもっとも印象に残りました。UNHCRの方がたくさんの人にとってずっと忘れない心に残る人になるのではないかと思います。この話を聞いてすごく杉原千畝さんの話とかぶさりました。
☆『いのちの持ち物けんさ』ライト版(1~2日目)
・ワークショップを子どもの立場で実際に体験できたことと、教材の意図と分析が丁寧にしていただけたことがとても勉強になりました。参加してよかったです。ありがとうございました。
・何度か生徒の試したことがありますが、なかなか生徒は付箋に書きたがらないので、今回のようなライト版の方が取り組んでもらいやすそうです。また、その時の生徒の傾向として黄色部分がほとんど書けず、赤か青かの二極化してしまう傾向がありました。
・2日目に体験し、今回復習したことで深く理解ができてよい研修となった。複数回体験しておくことの意味は大きいと感じた。
・学生の方が一生懸命頑張っておられるのには感心しました。人前に出てチャレンジすることは、すごく大きな経験になると思います。
☆『あるものないものワークショップ』(2日目)
・実際に体験することで、教室で行う際の留意点や時間配分などについてシミュレーションできました。
・「あるもの」に焦点を当てることで、自分たちとの共通点も見え、同じ人間としてのサポートが必要になると分かった。
・たしかに難民を語る時、「ないもの」ばかりに注目しがちで、かわいそう、悲惨など、ネガティブイメージのことしか伝えていなかったなと反省しています。彼らにだって「あるもの」はあるんだってことを伝えることで、自分たちと意識の面でつながりやすくなるのかな…と感じました。実は近々、難民についての講義をするので使ってみたいと思います。
☆『あるものないものワークショップ』解説等(2日目)
・解説や体験談があるのが、今回の企画でとてもよかったです。
・伝えるお相手に自分ごととして考えてもらえるようになるアプローチの大事さを改めて気付かされました
・あるものないものWSの名称決定の経緯も大変興味深い説明でした。
☆Youth×UNHCR for Refugees(2日目)
・今時の学生さんの行動力と知性と共感力に感銘を受けました。学生さんに「どこかに学生のグループは無いか」と時々聞かれるのですが、そんな時にはこのポータルサイトを伝えるのが良いですね
・今は、SNSがあったり、オンラインがあったり、自分を高める場があり、我々が学生だった時にくらべて、すごく便利で、羨ましい限りです。ぜひ今の学びの活動を止めないで、どんどん広げていってほしいとおじさんは思います。
・全国の大学団体(公認非公認不問)また学生が個人として参画できるシステムが素晴らしい。
☆『サトちゃんの大切なもの』(3日目)
・子どもたちにイメージで考えさせるのは大変有用だと思います。
・現役の小学校の先生の子どもに対する願いや授業の学習目標が明確で、それを実現できるよい授業案だと思いました。大変に参考になりました。ありがとうございます。
・サトちゃんの気持ちを想像し、サトちゃんの気持ちを共有でき心に残る内容でした。
☆『サトちゃんの大切なもの』解説等(3日目)
・解説がとてもよかった。小学校低学年向けというのがチャレンジングですばらしい。
・子どもたちにイメージで考えさせるのは大変有用だと思います。
・解説と教材の意図や背景がシェアできたのがとてもよかった。参考になり、次につながる教材になり得る。小学校低学年だけでなく十分汎用性があります。
・発達段階によってアプローチの仕方も違うのですね。アニメーションの画面から感情を読み解いてみるとか、絵に思いを描き込んでみるとか、なかなか文章として表現しにくいものを、違った形で引き出す取り組みには感心します。勉強になりました。
☆特別ゲスト講演(3日目)
・生の声を聞くことができてとても良かったです。自分の好きなことをもっておくこと、~したい!という思いを持ち続けること、自分で未来を切り開く強い気持ちが大切なんだと思いました。
・難民の方の声を直接聞く機会はほとんどないので、大変良かったです。
・このような方に直接お話を聞ける機会というのはとても貴重だなと思いました。できれば、通常の授業の中にオンラインでゲスト出演してほしいくらいです。そういうことって、できるんでしょうか?お仕事とか、いろいろあると思うので、難しいとは思いますが、生徒にとってみると貴重な経験になるのではないかと思いました。
・最後にお話を聞けたことで、難民が同情の対象から尊敬の対象であるべきだと思うようになりました。
今後の展望
2021年が始まりましたが、今年の3月にもオンラインでの実施を企画しています。
次回は、教職員対象と学生・一般対象にコンテンツを分けて、少しでも新しい取り組みを取り入れていきたいと考えています。
当協会は、多くの先生方にワークショップなどの教材を活用していただき、さらに多くの方々が難民について、世界での出来事について自分事として考えることのできる機会を創出していきます。
コロナ禍が続いてはいますが、日本で開かれる平和の祭典である東京オリンピック・パラリンピックでは、再び難民選手団が結成され、活躍が期待されます。
現在も多くの学校現場から、出張授業やワークショップ実施のご相談をありがたく頂戴していますが、このような時代だからこそ、世界に視野を広げ、お互いに寄り添い、ポジティブなアクションを起こすことのできるきっかけを生み出していく所存です。
今後も、新たな実践例のご報告が寄せられましたら、『学校などでの実践例』としてご紹介していきますので、ご覧くださいませ。
様々な事例を皆様に知っていただき、より多くの教育現場において難民やUNHCRについての実践的な授業が実現していくよう努めますので、授業を実践された先生方や、これから実践を考えられている先生方は、ぜひご連絡ください。
最後になりましたが、本セミナーの実施に多大なるご協力をいただいたゲストの方々をはじめ、ご協力いただいたUNHCR駐日事務所、後援いただいたJICA地球ひろばの皆様、ご参加いただいたすべての方々にこの場を借りて深く御礼申し上げます。
【参考】
※「学生団体SOAR」について詳しくはこちら
(2017年7月の「第2回学生団体総選挙」キャリア・教育部門でグランプリを受賞!)
※「Youth×UNHCR for Refugees」について詳しくはこちら
※「難民についての授業の広場」はこちら
※「出張授業/学習訪問」について詳しくはこちら
※「学校・団体の皆様へ」について詳しくはこちら
※「ご寄付でできること」について詳しくはこちら