「シェルターを、ありがとう」!
公開日 : 2024-09-24
世界で紛争や迫害、災害は止まず、家を追われ避難を強いられる人々は増え続けています。家を失った人々にとって、シェルターは「第二の我が家」として大切な役割を果たします。しかし、資金不足で緊急テントなどシェルターの提供に深刻な影響が出ているため、「シェルターが足りていません」とご協力をお願いしたところ、日本各地から、大変多くのご支援と温かい励ましのメッセージをお寄せいただきました。職員一同、心より感謝申し上げます。今回は皆さまへの感謝の思いを込めて、UNHCR佐藤重臣職員からの感謝のメッセージと共に、アフリカ地域でのシェルター支援の成果や難民の喜びの声をお伝えします。
「未来に希望が持てます」

スーダンの紛争から逃れてきたハウィダさんは、6人の子を持つ母親で元教師です。隣国のチャド南東部の難民居住地に逃れ、すべてを失ったハウィダさんと子どもたちは、UNHCRからシェルターや援助物資を受け取りました。
「チャドでは安全で、保護されていることに感謝しています。未来に希望が持てます。シェルターや支援を受け取って、助けられ安心だと感じています」。

2023年にスーダンで紛争が始まって以来、多くの人がチャド国境へ逃れています。UNHCRはそうした人々を安全な難民居住地へ移送し、シェルターや物資の提供をはじめ、様々な支援を行っています。
スーダン伝統のチャントで歓喜を表現
スーダン北東部のポート・スーダンで、国内避難民のムニラさんはUNHCRから新しいテントを受け取り、喜びがあふれました。UNHCRの職員を前に、スーダンの伝統的なお祝いのチャント(ザグルータ:リズミカルで甲高い歓喜の表現)で喜びを表現し、職員たちを抱きしめて感謝を伝えました。


生き別れ、銃弾を受けて ー 国境を越え再会した夫婦
ハチムさん(写真右側)とアヤドさんは5年前、スーダンの大学で出会いました。ハチムさんは数学と物理学を、アヤドさんは農学を学び、2022年に2人は結婚。しかし、翌年に紛争が勃発し、チャド国境へと避難する大混乱の中で、2人は生き別れてしまいます。ハチムさんは足を銃撃され負傷しましたが、見知らぬ人がロバに乗せてチャドまで運んでくれ、命が助かります。アヤドさんも、国境へ向かう途中で転倒し肩を負傷していました。その後、二人はチャドの病院でようやく再会。今年5月には国境から難民キャンプへ移ることができ、UNHCRから受け取ったシェルターで笑顔に満ちた新しい生活が始まりました。


洪水で被災した難民にテントを! UNHCRの緊急シェルター支援
2024年8月、雨季が始まったスーダン・カッサラ州で大雨による洪水が発生し、数千人が新たに避難を強いられました。UNHCRはパートナー機関と連携し、被災した約800世帯の避難場所として約400張のテントの設置にあたりました。写真は、泥でぬかるむ中でも笑顔を見せ、献身的に人々をサポートするUNHCRのスタッフです。皆さまからの貴重なご寄付と思いが、こうした現場の活動を今日も力強く支えています。


「貴重なご支援をありがとうございます」
UNHCR 佐藤 重臣 職員

この度は多大なるご支援をいただきまして、誠にありがとうございます。 故郷を追われた人々、特に女性や子供だけで逃れてきた人々にとっては、故郷が極めて危険な状況になったことに加えて、避難の途中や避難先でも、プライバシーが確保されないことで、常に緊張にさらされ、心身ともに疲弊し、擦り切れ、様々な脅威に直面します。 そのような中で、家族ごとに割り当てられるシェルターは、故郷を追われて以来、はじめて得られる「私の場所」「家族の場所」であり、落ち着いて将来のことを考え、希望を見出す基盤となる場所になります。

残念ながら、故郷を追われる人々の数は増大し続けていることに加えて、危機が長期化しています。そのため、新たに避難をしてきた人々に提供するシェルターに加えて、古くなったシェルターの修繕・建て替えニーズも膨大にあります。しかし逆に、シェルターをご支援いただくことは、困難な状況に陥っている多くの人々に希望を与えることにつながります。
このような困難な状況に陥っている人々に思いを寄せていただき、貴重なご支援をいただけましたこと、UNHCRの職員の一人として、光栄に存じます。
いただきましたご支援は、大切に活用させていただきます。引き続き、難民問題に対するご理解をいただくとともに、UNHCRの活動へのご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
今後も、UNHCRと一緒に家を追われた人々をご支援ください
今回ご紹介したのは、UNHCRの活動の一部です。上記以外にも、一時滞在センターや集合シェルターなど様々な避難施設の設置、破壊された家屋の修復キットの配布や現金給付など、多岐にわたるシェルター支援を実施しています。皆様のご支援は、世界の難民・国内避難民のために今日も大切に活用されています。ぜひこれからもUNHCRと一緒に、家を追われ助けを必要としている人々を応援していただければ幸いです。
UNHCRは紛争や迫害、そして自然災害等、人道危機によって故郷を追われた人々の命と生活を守るため、こうしている今現在も、紛争が継続されているスーダン等、世界各国で難民・国内避難民等への救援活動を続行しています。「国連難民サポーター」の皆様による毎月のご支援により、UNHCRは常に救援物資を備蓄し、緊急事態に対応できるだけではなく、学校教育や自立支援といった長期的な支援を進めることができます。ぜひ、これからも、UNHCRの活動をご支援いただければ幸いです。