第19回難民映画祭・映画紹介 『ピース・バイ・チョコレート』 定住先のカナダで起業に成功した、シリア難民のサクセスストーリー
チョコレートによって世界に平和を届ける家族の心温まるドキュメンタリー映画『ピース・バイ・チョコレート』が、この秋「第19回難民映画祭2024」にて上映される。この映画は、長年チョコレートを作り続けてきたハダド家が戦火を逃れ、たどり着いた新しい地でチョコレートを通し、人々に希望を与え、困難に立ち向かう姿を描いた実話に基づいている。
公開日 : 2024-10-18
2011年、西アジアに位置するシリアで内戦が勃発し、現在でも約1670万人もの人が援助を必要としている。この内戦によって、多くのシリア人が生活の全てを失った。ハダド家もまた、シリア内戦により故郷ダマスカスにあるチョコレート工場を失い、難民となる。そして医者を目指している息子テレクや、チョコレート職人の父イッサムと共にカナダの小さな街、アンティゴニッシュに移住することとなる。その街でハダド家の新しい生活が始まる。イッサムは自宅のキッチンでチョコレート作りを再開し、地域の人々に教会でチョコレートを配り始めたことをきっかけに彼らの新たな挑戦が始まった。
カナダ政府は2016年2月末までに2万5000人のシリア難民を再定住させる計画を発表し、ハダド家もその支援を受けてカナダに移住した。新たな土地での生活は多くの困難を伴ったが、地域社会の温かい支援を受けて、ハダド家はチョコレート工場再建へと進む。
現在、『ピース・バイ・チョコレート』はカナダや世界中で有名なチョコレートブランドとして知られている。この映画は、難民だったハダド家が直面した困難や家族の愛情、成長、そして成功に至るまでの軌跡を描いている。彼らの物語は、言語や文化を越えて人々を繋ぎ、希望を与える大きな力を持っている。
この映画を通じて、シリア内戦の現実と難民問題について理解を深め、世界で起こる重要な社会問題に向き合う必要性を再認識させてくれる。困難に直面しながらも希望を持ち続け、行動することの重要性を教えてくれる素晴らしいドキュメンタリー映画である。
制作:広島安田女子大学 英語英米文学科 通訳専攻 石堂聖渚、佐古茉優、澤田真緒
参考:
https://www.asahi.com/sp/articles/ASS3K7W84S3HULLI003.html
https://www.japanforunhcr.org/activity-areas/syria
https://peacebychocolate.ca/pages/our-story
https://www.tareqhadhad.com/about-tareq#:~:text=He%20is%20the%20founder%20and,2020%20and%20Queen%20Elizabeth%20II's第19回難民映画祭