ウクライナ人道危機レポート

公開日 : 2023-04-28

2022年2月24日に始まったウクライナでの軍事行動から1年、ウクライナ国内で避難している人の数は530万人以上、難民として国外に避難をした人は800万人を超えています。その数はウクライナ国民の3分の1以上です。

美しかった町は破壊され、多くの市民が命を奪われ、故郷を失い避難生活を強いられるなどの甚大な被害は今もなお、広がり続けています。

UNHCRは故郷を追われた人々を保護・支援するため、現場にとどまり、ウクライナ国内と周辺国で活動を続けてきました。日本からも多大な支援が寄せられ、その支援の輪は、政府、個人、企業、学校、自治体などに広がっています。
皆様から寄せられたウクライナの人々へのご支援は、約112億円に達しました。

UNHCRの難民援助活動に対する皆さまの温かいお気持ちに、心より感謝申し上げます。

ウクライナや近隣国で今日も続く、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の援助活動の報告です。

ウクライナ国内でのUNHCRの援助活動

ウクライナの支援状況2023年2月

UNHCRはウクライナ国内で、政府やさまざまなパートナー団体と連携し、人道援助団体のリード機関として、命を守るための緊急援助活動に尽力しています。

  • 保護活動

カウンセリング、心理社会的支援、アウトリーチ活動などを行い、トラウマや孤立感を和らげるための支援を行ってきました。

  • 援助物資・現金給付支援

UNHCRは100万人以上の人々に、最も差し迫ったニーズを満たすためのタイムリーな現金給付支援を行ってきました。また、UNHCRとそのパートナー団体は、保温毛布、暖房器具、衛生用品、キッチンセット、マットレス、暖かい衣服などの物資を届けてきましたが、さらに頻発する停電や燃料不足から人々を守るため150万人以上に、発電機を含む援助物資などの防寒支援を届けました。

  • シェルター・家屋の修復支援

地域コミュニティによる住宅修復の取り組みを支援するため、UNHCRはこれまでに8140人近くが暮らす2710棟以上の住宅修繕を支援しました。。また、UNHCRは地元自治体と協力し、故郷に帰れない人々のために、集合住宅の敷地に7750人分の寝床を確保しました。


※2023年2月23日現在

保温毛布、枕、マットレスなどの防寒支援を届ける様子
届けられた発電機

ウクライナ近隣国での活動

※以下、2022年末時点の数値です。

ポーランド

ワルシャワでUNHCRの現金支援プログラムに登録するウクライナ・ハルキウ出身のセルギイ・シャバエフ氏と妻のユリアさん、子どものイワンくん(18歳)、ヴセヴォロドくん(8歳)、ザリナちゃん(4歳)
  • 156万3386人の難民が一時保護登録されました。
  • 3万人が電話による保護サポートを受けました。
  • 6つのブルードットの拠点と5つのコミュニティセンターで4万2151人がサポートを受けました。
  • UNHCRポーランドヘルプページ(難民向けホームページ)による支援・情報提供ヘルプページへのアクセス数580万件
  • 29万3073人が現金支援を受けました。
  • 5万2388件の保護モニタリングとプロファイリングのための面接が実施されました。最も緊急なニーズとして挙げられたのは、宿泊施設、現金、雇用へのアクセス、医療、教育でした。
  • マットレス、毛布、ベッドリネン、寝袋を含む18万点の食料以外の援助物資を提供しました。さらに、UNHCRは8万5000着の冬服を配布しました。

ルーマニア

ブカレストのペプシコ基金によるウクライナからの難民の子どもたちのためのラーニングセンター。3歳から17歳までのウクライナ人生徒最大150名に教育サービスを提供しています
  • 10万3825人の難民が一時保護登録されました
  • 4万3000人の難民が現金給付支援を受けました。
  • 6万6557人の難民が、UNHCRやパートナーを通じて、対面やホットラインで保護情報の提供やカウンセリングを受けました 。
  • UNHCRルーマニアのヘルプページ(難民向けホームページ)による支援・情報提供ヘルプページへのアクセス数9万9734件

  • UNHCRは、難民保護、子どもの保護、ジェンダーに基づく暴力の予防と対応について、自治体やパートナー団体のスタッフの代表者762名やボランティアの研修を行いました。
  • 防寒支援としてUNHCRは16万5千個以上の援助物資を難民に提供しました。
  • 2022年、UNHCRはモルドバとウクライナの国境(パランカ国境通過点)からルーマニアのフシまで、IOMと共同で進行した1万4636件の事実上の移送を支援しました。1月8日現在、1万4707人がルーマニアに移送されました。

ブルガリア

ウクライナからの難民のジュリアさん(41歳)は、子どものセルゲイくん(9歳)とカチャさん(6歳)と共に、ブルガリアの黒海に面した都市ブルガスの危機管理センターで、一時保護資格の登録を待っています
  • 15万510人の難民が一時保護登録されました。
  • 5万1854人の難民がUNHCRとパートナー団体から保護を受けました。
  • 6つのブルードットの拠点を通じて5万2400人の難民を支援しました。
  • 5060人が現金給付支援を受けました。
  • 1万5000個の防寒用物資を含む2万1000個以上の援助物資を配布しました





モルドバ

ウクライナからモルドバに国境を越えた直後、UNHCRスタッフに慰められる感極まったスヴェトラーナさん(83歳)。ウクライナからの320人の難民を受け入れている、展示会場を難民宿泊施設に改装したMoldExpoにて。
  • ウクライナからの難民が10万2016人滞在していると推定されます。
  • 8万3401人の難民がUNHCRやパートナー団体を通じて保護に関する情報やカウンセリングを受けました。
  • 9つのブルードットの拠点を通じて、2万3000人の子どもたちを含む4万5000人が支援を受けました。
  • 10万7705人が現金給付支援を受けました。
  • UNHCRモルドバヘルプページ(難民向けホームページ)による支援・情報提供ヘルプページへのアクセス数46万9600件
  • 毛布、ベッドリネン、衛生キットを中心とした防寒支援を含む11万4000点を超える援助物資を提供しました。
  • IOMやパートナーとの連携により、2022年3月から12月にかけて、重度の医療問題を抱える人、高齢者、シングルマザーを含む2058人の難民がEU+ Air Transferに紹介され、122の商業便とチャーター便を通じてEU+13カ国で移送されました。
  • パートナー団体から、3736人に心理社会的支援と心理的応急処置を提供しました。

ハンガリー

UNHCRが支援するブダペストでのアニマルセラピーに参加するウクライナからの難民のマリアちゃんとユリヤちゃん
  • 3万3446人の難民が一時保護登録をされました。
  • 5万人がUNHCRとパートナー団体によって保護と法的支援を受けました。
  • 4つのブルードット拠点を通じて1万3000人が支援されました。
  • UNHCRハンガリーヘルプページ(難民向けホームページ)による支援・情報提供ヘルプページへのアクセス数 10万7283件
  • 掛け布団や冬服などの防寒支援物資が9000人に届けられました。
  • 食料や現金給付などの防寒支援が2800人に届けられました。
  • 約5400人に移送シェルターを提供し、また、約540人には集合住宅での中長期的な宿泊施設を、700人には賃貸アパートでの宿泊施設を提供しました。
  • 8つの難民支援団体がUNHCRからの助成金で、最大1000人が、子どものためのキャンプ、ハンガリー語コースへの登録、または食料バウチャーの受け取りなどのイベントに参加しました。

スロバキア

ウクライナ出身の危機管理心理学者スヴィトラーナさん(右)とマリナさん(左)は、苦境にあるウクライナ人女性が利用できる秘密厳守のホットライン「Nezábudka(私を忘れないで)」で働いています。電話をかけてくる女性の中には、ジェンダーに基づく暴力(GBV)、中でも親密なパートナーからの暴力の被害を受けている人もいます。
  • 10万5533人の難民が一時保護登録されました。
  • 3万3000人が3つのブルードットの拠点で法律相談のサポートを受けました。
  • 2万9458人の難民が現金給付支援を受けています
  • UNHCRスロバキアのヘルプページ(難民向けホームページ)による支援・情報提供ヘルプページへのアクセス数29万2103件
  • スロバキアUNHCRのホットラインは、2022年に1万2421件の問い合わせを受けました。問い合わせは、一時保護、防寒支援、雇用、現金支援、食料支援へのアクセス、保護サービス、教育への登録に関するものでした。約11万8000人がブルードット外で保護サービスを受けています。
  • UNHCRはユニセフおよび政府と協力し、12月にウクライナ出身の1万414世帯および国籍を問わない庇護希望者に1回限りの冬を越すための現金給付を行いました。
現金給付登録センターの様子
UNHCRの現金給付登録センターで登録を受けるロザリアさん親子

難民のライフラインを現金給付で守る
家の隣に爆弾が落ち、3日かけてポーランドに避難してきたロザリアさんと息子のアンドレイくん(2歳)。母国に残っている夫とは連絡が途絶え、必要な物を買う現金も不足し、UNHCRの現金給付のための登録を受けました。「冷蔵庫は空です。食べ物をくださる人もいましたが、恥ずかしい思いでした。できれば自分自身で買いたいのです」。
ブルードットの様子
ブルードットのボランティアとアクティビティをする難民の子どもたち
子どもや女性の支援拠点「ブルードット」
UNHCRはポーランドやモルドバなど6か国でユニセフと連携し、国境など避難ルート上に、「ブルードット」という安全なワン・ストップの支援拠点を設置。様々な情報を提供し、ソーシャルワーカー等によるカウンセリングや法的支援を行っています。子どもが遊ぶスペースもあり、親と離ればなれになった子どもの保護も行っています。

日本の皆さん、ウクライナへのご支援をありがとうございます

ウクライナ危機に対する日本の迅速な支援に対する感謝とウクライナの現状について、UNHCRウクライナ・ウジホロド事務所の石原朋子法務官からのメッセージです。

 


今年12月の「第2回グローバル難民フォーラム」で、日本は共同議長国を務めることが決定しています。日本からの支援が難民支援の現場に確実に届いていることをお伝えするとともに、今も人道危機が続くウクライナ、そして、世界各地で故郷を追われている人々に対する「社会全体で取り組む難民支援」の促進を目指します。



ウクライナ 避難を強いられる家族に人道支援が必要です

皆様のご支援により、故郷から避難を余儀なくされているウクライナの人々を保護し、安全を守る援助活動が可能となります。どうぞ、これからもウクライナの人々をご支援ください。

※当協会は認定NPO法人ですので、ご寄付は寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象となります。

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