ヨルダンのシリア難民家族に命を守る援助と希望を提供する現金給付
公開日 : 2023-03-13
ヨルダン、2023年1月29日 ― ハナンさん(51歳)は、2013年、安全を求めて3人の子どもと共に戦火のシリアから逃れました。ヨルダンに避難し、現在はアンマンの質素なアパートで、一人で子どもたちを育てています。ハナンさんは、すべての時間とリソースを子どもたち、ゼインさん(12歳)、モタスさん(16歳)、ナルヤスさん(17歳)に捧げています。子どもたちがきちんとした生活を送れるように、できることはすべて自分でやっています。
しかし、ヨルダンは生活費が高く、また彼女は体が弱く働けないため、ハナンさんは家賃や食事といった家族の基本的なニーズを満たすのに苦心しています。彼女は関節炎、椎間板ヘルニア、糖尿病、高血圧を患っており、仕事を見つけて安定した収入を確保することが困難なのです。彼女は長年にわたり、生活費を稼ぐために苦汁の決断を迫られてきました。「ヨルダンで家を見つけた当初は、住み家を維持するために買う食料の量を減らしていました」とハナンさんは言いました。
彼女は家具もほとんどない質素な寝室がひとつだけのアパートに180ヨルダンディナール(約250米ドル)を支払っています。アンマンの寒い冬の間、この3人の子どもの母親には、子どもたちを暖めるのに小さなヒーター1台しか頼るものがありませんでした。
ヨルダンには子育てや生活費を支えてくれる親しい家族がいないため、ハナンは昔ながらの隣人たちの助けを借りざるを得ませんでした。しかし、彼らは何度も大きな支えになってくれたそうです。また、子どもたちの食料を買うために、地元のスーパーに恩を受けることもあったそうです。
そんな中、ハナンさんがUNHCRから受けている多目的の現金支援は、彼女と家族にとって命綱となっています。食卓に食べ物を並べ、屋根のある生活を送るために、部分的にでも役立っているのです。「すべて(の現金給付)は子どもと家のために使っています」とこの愛すべき母親は語りました。
でも時々、子どもたちはヨルダンの伝統料理“マンサフ”のような、いつもは買う余裕のない特別なご馳走をリクエストしてきます。だからハナンさんは、ラム肉を買って子どもたちが欲しがる料理を作るために、何週間も、時には何か月も節約しなければならないのです。
UNHCRはヨルダンで最大規模の現金給付プログラムを実施し、弱い立場に置かれている難民世帯が基本的なニーズをカバーできるよう援助し、彼らに選択肢と尊厳を与えています。また、この現金給付は、モバイルウォレットを通じて難民に配布されるように移行しています。この方法は、難民の金銭管理の自立を促し、経済的な包括を強化するものです。
カタール開発基金(QFFD)の寛大な支援により、ヨルダンの最も脆弱なシリア難民のうち1万3500人以上が、2か月間にわたり現金給付を受けることになりました。多くの難民の家族が、ハナンさんのように、この援助に頼って生活しています。「これがなかったらどうしようかと思うほどです。私の唯一の支えです」と彼女は言いました。
近年に直面した困難を振り返り、次を見据えるハナンさんは子どもたちの教育を重要視しています。子どもたちへの教育が明るい未来への道だと信じているのです。子どもたちは現在学校に通っており、彼らが必要とし、彼らにふさわしい質の高い教育を受けられるように最善を尽くしたいと、彼女は固く決意しています。「私の願いは、子どもたちがより良い未来を手に入れ、教育を受けることだけです。それは私の誇りになるはずです。」
原文はこちら(英文)
Cash assistance provides vital aid and hope to Syrian refugee families in Jordan
その一歩はいつか、シリア再建への一歩に。
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