ナイジェリアの少年がボコ・ハラムについて語る

公開日 : 2016-05-18

極北州(カメルーン)、2016年4月14日 ― ポールと弟のアダムは、ボルノ州の村にある自分たちの家にボコ・ハラム(※)の武装した男たちが乱入してきた時、全力で抵抗しましたが、家の外に引きずり出されました。

「奴らはついには僕らを持ち上げて車に投げ込みました。僕らに手錠をかけて、1日中そのまま放置されました」と、今は母と弟とともに難民として滞在しているカメルーンの極北州にあるミナワオ難民キャンプで、ポールは回想しています。「僕らは3年くらい前に誘拐されたのですが、まるで昨日のことのようです」と、付け加えました。

後部座席で手錠をかけられたままの2人の少年を乗せた車は、ボコ・ハラムの拠点の1つである、カメルーンとの国境近くに位置するサンビサの森へ向かいました。誘拐犯らはすぐに家族に対して2,000万ナイジェリアナイラ(10万USドル)を当時12歳と14歳だったアダムとポールの身代金として要求し、さもないと2人を殺害する、と脅しました。

恐怖の囚われの日々

その森の中でキリスト教徒だった兄弟はイスラム教に改宗させられました。ポールは、誘拐犯らが「もし改宗しないのならば、おまえらの喉を掻き切るぞ」と、声高に言い続けていたのを覚えています。

誘拐されて2日目に少年たちは無理やり泥の壁の前に立たされました。ボコ・ハラムの兵士たちはカラシニコフ銃を少年たちの背中に向け、「殺す」と再び脅しました。「そのあと奴らは僕らを井戸の前に引きずって行きました。奴らに井戸へ投げ入れられるのだろうと思いましたが、ただ怖がらせたかっただけでした…僕らは最終的に昨夜寝ていた木の下に連れ戻されました」とポールは回想します。

少年2人は、戦闘員となるために訓練されることとなると言われました。しかしその結末に至ることはありませんでした。彼らの知らないところで、ボルノ州のボコ・ハラムの幹部の1人と叔父の間で交渉が進行していて、7日間にわたる恐ろしい日々の末に、ついに彼らは解放されました。

続発する少年少女の誘拐事件

ナイジェリアでは、ボコ・ハラムが暴力性を加速させた2013年以来、何百人、もしかすると何千人もの子供たちが誘拐されています。2014年4月14日にボルノ州のチボクで起こった、276人もの少女の衝撃的な誘拐事件は世界中で大きく報道され、前代未聞の規模でソーシャルメディアを動かしました(#BringBackOurGirls を参照 (詳細はこちら ※別タブ/ウィンドウでTwitterへリンクします))。50人もの少女たちは誘拐された数時間後や数日後に何とか逃げることができましたが、その他の少女らの運命はいまだに分からないままです。

少年少女の誘拐事件はあの注目を集めた事件のずっと前から何度も起きており、いまもなお頻繁に起こっています。ナイジェリア北東部では学校や寮が武装した男たちによってしばしば襲撃されています。少年たちはその派閥の兵士の補充のために誘拐され、誘拐された少女たちは強制結婚や性的搾取、性的虐待を受けることになります。

一部の家族はより高い安全および予防措置として、近隣諸国に逃れていますが、カメルーンやチャド、ニジェールでも子供の誘拐事件が報告されています。2015年、少女たちは自爆テロを実行するためにますます利用されました。

UNHCRの対応

誘拐されたり暴力の被害者になるということは、生命に関わる出来事であり、ひどい不安感やうつ症状を引き起こします。それはかなりの影響を子供たちの感情世界に及ぼすことになるでしょう」と、ダカールを本拠とする、カロリーネ・シュミットUNHCR西アフリカ・ナイジェリア地域教育担当官は語っています。

西及び中央アフリカの難民キャンプにおいて、UNHCRとそのパートナー組織は、暴力や虐待を経験し、移動中に過酷な体験をしたり家族と離れ離れになってしまった少年少女たちを支える活動を実施しています。

彼らは心理社会的支援や子どもに優しい空間へのアクセスなどの特別支援を受けます。UNHCRは学校が、彼らが正常な感覚を取り戻せる安全で守られた場所になるように、教員を訓練し支援しています。

難民キャンプや受け入れ地域社会の学校を通して提供される安全な環境が、子どもや若者にとって未来への明るい展望を持つ手助けとなることが望まれています。

なお残るトラウマ

「僕らは今カメルーンに難民として滞在していて、より安全を感じられています。ただナイジェリアの家や村、そして友人たちが恋しいです」とポールは自分の故郷が今も安全でないことに言及しながら話しました。「それでもまだそこに帰るのは怖いです。もしかすると僕を誘拐した男に遭遇するかもしれません。」

※日本の報道では「ボコ・ハラム」はイスラム過激派グループと称されています。

 

Helene Caux in the Far North Region of Cameroon

原文はこちら(英文)
Nigerian boys tell of Boko Haram abduction


ナイジェリア難民危機

武装勢力の暴力に襲われ、ナイジェリアは重大な人権の危機、広がる性的暴力、徴兵・自爆テロの脅威により、多くの民間人が家を追われています。ナイジェリアの人々の安全を守るUNHCRの活動に、どうぞご協力ください。

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