世界中で難民や国内避難民は1億1000万人。ロシアとの戦争が続くウクライナ国内では、500万人以上が避難を強いられていますが、ミサイル攻撃など戦闘が激化しており、厳しい冬を迎えた今、女性や子どもなど弱い立場の人々がさらに追い込まれることが強く懸念されています。
また、ウクライナだけでなく、2023年2月に大地震が発生し多くの人が家を失ったシリアや、貧困や食料不足にあえぐアフガニスタンなど中東の多くの地域でも冬は氷点下となるため、命の危機に直面する過酷な季節となります。
すでに厳しい冬が始まっており、今まさに時間との闘いです。家を追われ窮地にある人々に、毛布や防寒具の提供、現金給付などの支援を届け、かけがえのない命を守ることができるよう、お力をお貸しいただけませんでしょうか。
気温、氷点下。
あなたにこの冬、暖かさを届けたい。

ウクライナ
「ここに、僕たちの家があった」
今、スヴィトラナさん(29歳)と息子のイワンくん(5歳)が立っているまさにこの場所に、家族で暮らしていた家はありました。建設業に携わる夫が建てた家です。ロシアによる侵攻が始まると家族で地下室に身を潜めていましたが、攻撃が激化したため、西部へ避難するしかありませんでした。数か月後に戻ってくると、家はロケット攻撃であとかたもなく破壊されていたのです。

戦争で傷ついた人々に、暖かさを届けたい。
ウクライナでは戦闘が激化しており、多くの人が家を破壊されたり、避難生活が長期化し過酷な状況にあります。冬は零下20度にもなる寒さから命を守るために、支援を急がなければなりません。爆撃でドネツク州の家を失い、避難してきたアンゼラさん(24歳)と姪のリリヤちゃん(4歳)は、この日、UNHCRから毛布などの物資を受け取りました。「仕事を探すのも難しく、父は今も正規の仕事が見つかりません。85歳の祖母もいるのでここにとどまります。国連の現金給付を受けられて助かりました。ストーブ用の薪を買ったので、料理をしたり部屋をあたためたりできます」。

アフガニスタン
「娘の熱は、1週間下がっていません」
アフガニスタンの首都カブール近郊に避難するグルさん(40歳)。一家は約10年前に、ジャララバードの戦闘を逃れてきました。寒さが厳しくなる中、娘のナジアちゃん(2歳)は前の週から熱があり、下がらないままです。また、アフガニスタンで最も高地にあるバーミヤン州で避難する父親、ジャリルさんも言います。「子どもたちは絶えず病気になっています。でも家を暖められないのです。家賃も払えず、この数か月のうちに家主に追い出されるのではないかと不安です」。

紛争、干ばつ、食料危機。
苦しみの続く人々を、凍える寒さから守りたい。
長年の紛争で、多くの難民、国内避難民を生み出してきたアフガニスタン。経済は崩壊し、干ばつ、食料価格の高騰などにより2,500万人が貧困に陥り、人口の約3分の2に人道支援が必要です。食料不足は深刻で、2023年は約230万人の子どもが急性栄養不良に直面しています。また、2023年10月には西部で地震が発生、数千人が亡くなり甚大な被害となっています。アフガニスタンで苦しむ最も脆弱な人々を、見捨てることは決してできません。 出典:Afghanistan Humanitarian Needs Overview 2023など

シリア
紛争から12年。大地震で被災した人々にも、ぬくもりを届けたい。
2022年2月、冬の嵐が直撃したシリア北東部。家を破壊されるなど被害を受けた人々へ、UNHCRは緊急に毛布や防水シート、マットレス、衣類、家族用テントなどを提供しました。シリアは2011年に内戦が始まって以来、世界で最も難民を生み出している国の1つです。680万人※が国内で避難し困窮している中で、2023年2月に大地震が発生(右下写真・被災し避難所に逃れてきた子どもたち)。再び多くの人が家を失いすべてを奪われました。今も集合避難所や簡素なテントで暮らす人も多く、防寒支援は時間との闘いになっています。※2022年末時点

レバノン
10人中9人は極度の貧困状態。シリア難民の命を守りたい。
シバさん(10歳)はシリア北部デリゾールからレバノンのベッカー高原に避難している少女です。雪の降りしきる中で、洗濯物を取り込むシバさん。激しい雪の嵐でテントは水びたしになってしまい、この日は朝から晩まで水をかき出すのに追われました。将来は弁護士になりたいと夢を描いている彼女ですが、厳しい現実が立ちはだかっています。
経済が破綻しているレバノンで、特にシリア難民は極度の貧困に陥っています。借金を抱え、食事の回数を減らし医療も受けられないなど、過酷な状況にあります。特に子どもや高齢者にとって、冬は命の危険にさらされる危険な季節です。
「命を守るために、どうぞご協力ください」
UNHCRウクライナ・ウジホロド事務所 法務官 石原朋子

私が活動するウジホロド事務所は、ハンガリーとスロバキアの国境近くにあります。東部と違い、今のところは爆撃される危険をあまり感じませんが、ここ1~2週間は毎日数時間おきに空襲警報が鳴り、そのたびに地下の防空シェルターに避難する必要があります。ウジホロドには東部から多くの人々が逃れており、その約6割以上は女性、約5割が子どもとお年寄りです。
私は2022年6月にウクライナへ赴任し冬を経験しましたが、ウクライナの冬は本当に厳しい寒さです。ウジホロドでは昨冬は気温が零下13度くらいまで下がりました。東部では零下20度になるなど、私たちが知っているような寒さではないのですが、地下のシェルターを暖めることはむずかしく、空襲警報が鳴ると、地下で寒さに耐えながら解除を待つしかない人が大部分だと思います。
昨年の冬は、発電施設へのミサイル攻撃により停電が相次ぎ、多くの人々が厳しい寒さの中で電気も暖房もない生活を強いられました。1日に1時間しか電気がつかず、暗闇の中ろうそくを灯して過ごしたり、街灯もつかない状況の人も多く、「日本から支援された発電機は命綱でした。本当にありがたいです」と現場でよく聞きました。電気が通るとお湯を沸かしたりパソコンも使えて、子どもたちはオンライン授業も受けることができたのです。
戦争の続くウクライナに、本格的な冬が目の前に迫っています。しかし、港のあるオデーサなど南部でもミサイル攻撃が激化しており、子どもを含む多くの市民が犠牲になっています。こうした厳しい状況で子どもたちや女性、高齢者などの脆弱な人々は冬を迎え、凍える寒さにさらされることになります。本格的な寒さが到来する前に、人々が冬への備えを万全にし、命を守ることができるよう、支援を届けることが重要です。
どうぞ、人々が厳しい冬を乗り越え温かい春を無事に迎えることができるよう、皆様のご協力を心よりお願い申しあげます。
※2023年8月時点の情報です。
UNHCRは、防寒支援を急ピッチで進めています



動画:ウクライナからの難民を受け入れるモルドバより、防寒支援のお願い
あなたのご支援で、また1人、この冬を暖かく過ごすことができます。
UNHCRと一緒に、難民のもとへ暖かさを届けましょう。
ご支援を心よりお待ちしています。
皆様のご支援でできること
※1ドル=144円換算



*皆様のご支援は、UNHCRが最も必要性が高いと判断する援助活動に充当させていただきます。

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