シリアを逃れカナダに定住したハドハド家について
実在するこのシリア人一家は、30年近くにわたり、中東とヨーロッパ全土にこだわりのお菓子を作り、出荷してきました。2012年末、シリアのダマスカスにあったハドハド家のチョコレート工場は爆撃で破壊され、家族はすべてを置いてレバノンに逃げなければならなくなり、3年間、チャンスも希望もない避民生活を送りました。その後、2015年にカナダに第三国定住することができたのです。
カナダでは、アンティゴニッシュのコミュニティとノバスコシア州の人々の支援により、一家はチョコレート会社を再建し、再び大好きな仕事をできるようになりました。2016年の初めにピース・バイ・チョコレートを設立して以来、チョコレートへの情熱をアンティゴニッシュのコミュニティの新しい友人たち、ノバスコシア州全体、そして今では世界中の人々と分かち合うことができています。
(出典 https://peacebychocolate.ca/pages/our-story)
シリア難民が生まれた背景と現状について

シリア危機は2011年以来続いています。 この危機の政治的解決に向けた進展はほとんどなく、数百万人のシリア難民が近隣諸国に避難し、約680万人の国内避難民が国内に残されています。 近隣諸国(主にトルコ、レバノン、ヨルダン、イラク、エジプト)は、シリア難民を寛大に受け入れてきましたが、自国の経済的課題を乗り越える一方で、シリア難民に安全と保護を提供し続けるために、国際社会の支援を必要としています。そうした状況の中、2024年9月下旬以降、レバノンの情勢が著しく悪化し、レバノンからシリアへと避難する人々も出ています。
UNHCRの支援
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、最も弱い立場にある人々には現金を給付し、食料、医薬品、生活必需品、暖房用のストーブや燃料、テントの断熱材、防寒毛布、冬用衣料など各世帯のニーズに合わせて調達できるよう支援しています。 また、難民が清潔な水と衛生設備を利用できるようにしたり、病院での治療、生活支援へのアクセスを増やすための支援も行っています。難民の子どもたちが、教育を受けられるよう支援するのも大切な任務です。避難を余儀なくされたもののシリアに残っている人々に対しては、シェルターキットや家庭用品のほか、保護サービスや心理社会的支援を提供しています。
主な難民受け入れ国における協調的な対応を確保するため、UNHCRはUNDP(国連開発計画)と共同で、エジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、トルコにおける各国の取り組みを支援するため、270以上のパートナーの活動を対外的に調整しています。
第三国定住について
紛争や戦争、迫害が続くため、多くの難民は故郷に帰ることができません。また、危険な状況に置かれていたり、保護を求めた国では対処できない特別なニーズを抱えていたりする人も多くいます。このような状況において、UNHCRは難民の第三国への定住を支援しています。
第三国定住とは、難民を受け入れ、最終的に永住権を与えることに合意した別の国へ、庇護国から難民を移送することです。
UNHCRは、その規約と国連総会決議により、3つの恒久的解決策の一つとして第三国定住を行うことを義務付けられています。これは、難民の庇護国から第三国への移動を伴う唯一の耐久性のある解決策であるという点でユニークです。
効果的な受け入れと統合を提供することは、第三国定住される難民と受け入れ国の双方にとって有益です。政府や非政府組織のパートナーは、文化的オリエンテーション、言語訓練、職業訓練、教育や雇用へのアクセスを促進するプログラムなど、統合を促進するためのサービスを提供しています。
2023年、世界全体で15万8,700人が第三国定住をしました。
カナダのコミュニティ・スポンサーシップについて
カナダにおける難民受け入れの方法は、日本と同様に「条約難民」と「第三国定住難民」に大別されます。自力でカナダにたどり着いた人は、難民申請によってカナダ政府に審査を求めることができ、難民条約上の難民として認められれば、在留を続けられます。なお、難民申請中も在留資格が付与され、公的なサービスを受けられます。一方、周辺国の難民キャンプなど、出身国以外の地域に逃れている難民を各国が主体的に呼び寄せて受け入れるのが第三国定住です。カナダの第三国定住の特徴は、政府による受け入れだけでなく、官民連携による受け入れプログラムや、民間主導での受け入れも可能な点です。
カナダの民間による難民の受け入れは、ベトナム戦争で大量に生み出されたベトナム難民の受け入れ促進のため、1978年、教会を中心に始まりました。
受け入れられた難民は、カナダ入国と同時に永住権が付与されます。連邦政府と各州政府の医療保険に加入でき、ほとんどの医療は無料、語学習得のサービスも無料で受けられます。医療、語学以外のあらゆる支援を民間が担い、入国後の1年間の生活に責任を負い、各スポンサーが難民の自立を促していきます。スポンサーになるには、1年間の支援費用として政府に定められた金額を用意しなければなりません。難民1人を受け入れる場合は12,600カナダドル(約100万円)が必要とされ、初期費用や生活支援金としてスポンサーが支出します。また、入国後2週間程度で就労資格が付与されますが、1日も早く就職できるように支援するのもスポンサーの役割です。 (出典 https://www.refugee.or.jp/report/refugee/2016/10/canada_ps/)
日本の第三国定住支援について
日本において、2010年に開始された第三国定住難民受入れは、当初は、タイの難民キャンプに滞在するミャンマー難民を毎年30人(家族単位)、5年間にわたって受け入れるパイロットケースとして実施されました。
その後、2014年1月、閣議了解により、パイロットケース終了後も第三国定住事業の継続的な実施が決定され、2015年度以降は、マレーシアに滞在するミャンマー難民を、さらに2019年6月の閣議了解により、受け入れ可能な難民がマレーシアのミャンマー難民から、アジア地域に一時滞在する難民への変更や受入人数の拡大等が行われました。2022年度からは年2回の受け入れとなり、これまでに合計で122世帯305名を受け入れています。
入国後約6か月間の定住支援プログラムにより、日本で自立した生活が開始できるよう、RHQ支援センターが様々な支援を一体的に行っています。*1
一方、2017年以降、JICAが、技術協力の枠組みの中で、ヨルダン、レバノンに難民として逃れているシリア人の若者を対象に、2017年より留学生を日本に受け入れています。*2
また同年、難民支援協会が、日本初の民間主導による難民受け入れ“プライベート・スポンサーシップ”を開始し、日本語学校と協働 トルコにいるシリア難民へ教育機会を提供しました。*3
出典
*1: https://www.rhq.gr.jp/what-refugee/p03/*2: https://www.jica.go.jp/overseas/syria/others/jisr/index.html
*3: https://www.refugee.or.jp/report/activity/2017/02/post_428/
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