2024年、紛争や迫害で避難を強いられる人は1億2000万人を突破

UNHCR(ユーエヌエイチシーアール)とは?

国連の難民支援機関である、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR:The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees)は、紛争や迫害などを逃れた難民、国内避難民の命を守り、人権を擁護するとともに、故郷を追われた人々の生活再建を支援しています。

また、無国籍の根絶を任務とし、無国籍者の国籍取得と無国籍の発生防止に取り組んでいます。

 

世界では多くの人々は内戦や戦争に巻き込まれたり、宗教や人種、政治的な立場が違うといった理由で迫害を受け、生命の安全を脅かされています。そのために故郷から逃げ出さざるを得ず、国際社会の保護と支援を必要としている人々がいます。保護と支援をお止めて国境を越えて他国に避難した人が難民、国内の別の地域に避難した人々が国内避難民です。



UNHCRの活動

緊急支援

レバノン

レバノンにおける軍事攻撃により、レバノン市民や同国で暮らすシリア難民等、数万人が避難を余儀なくされています。激しい攻撃はレバノン各地で拡大しており、レバノン当局によると、9月16~27日だけで、子ども87人と女性156人を含む1030人が死亡、2023年10月以降の死者の数は9000人以上に及んでいます。
レバノン政府は、推定100万人以上が国内で避難を余儀なくされていると発表しました。(10月4日現在)また、100万人以上が緊急の人道支援を必要としています。
レバノンのインフラも緊迫しており、317か所ある初期診療所のうち約40か所、加えて2か所の病院がサービスを停止、25か所の水道施設が被害を受け、36万人以上への給水が停止している他、教育面でも秋からの新学期の開始を延期せざるを得なくなっており、人々の生活への被害も甚大です。(9月30日現在)

 

UNHCRのレバノン緊急支援

UNHCRはレバノンで1964年に活動を開始し、レバノンの民間人と難民の双方に援助活動を実施してきました。そして、今年9月23日以降、この地域での情勢が著しく悪化してからも、レバノンにて就寝用マット、毛布、ソーラーランプ、調理器具セットを含む22万3000点以上の援助物資を7万3000人に配布する他、人々の命を守るシェルター支援、現金給付支援等、援助活動を拡大しています。
さらにシリアでも、今回の壊滅的な攻撃から国境を越えて逃れて来た約18万5000人のレバノン/シリアの人々の受け入れ態勢を整え、国境付近でも保護活動を実施。救援物資12万点、食料18万点を配布した他、新たにシリアに到着した最も弱い立場にある家族のニーズに対応するため、パートナー団体と連携し、約7000家族を安全な場所へ移送する等、救援活動を拡大していますが、シェルター、医療ケア等を必要としている家族に、さらなる援助が急務です。

 

ウクライナ

2022年2月24日、ウクライナへの大規模な侵攻開始。
戦争勃発から2年以上が経つ今も、人々は激しい攻撃によって生活を打ち砕かれ、愛する人々と離ればなれになり、ウクライナ国内外で避難を強いられています。ウクライナ国外に逃れる難民は655万人以上*。また、ウクライナ国内では354万人以上**が故郷を追われています。(*2024年6月現在 **2024年4月現在)

ウクライナの戦争開始から2年半
今も人々は攻撃に耐え、支援を必要としています

キーウの小児病院等に激しいミサイル攻撃

激動する世界情勢の中でウクライナへの関心は薄れつつありますが、2024年に入ってからもウクライナ各地で激しい攻撃によって多数の死者・負傷者が出ています。7月8日朝、ウクライナのキーウ、ドニプロ等を標的にしたロシアのミサイル攻撃により、キーウの小児病院を含む建物やインフラが大きな被害を受け、多くの民間人が死傷したことが報告されています。
UNHCRは、甚大な被害を受けた小児病院付近の家屋に住む家族に緊急シェルターキットを手配。また、心理社会的支援、法的支援、現金給付支援も実施します。

加えて、8月26日以降、複数都市に大規模な攻撃が展開され、多くの家々、インフラが破壊されたのみならず、多数の犠牲者が出ています。UNHCRは現地にとどまり、パートナー団体と共に、救援物資の提供、IDの再発行、現金給付支援、心理社会的サポート等、ウクライナの人々への救援活動を続けています。

各地で繰り広げられる攻撃はこうしている今も多くのウクライナの人々に大きな苦悩を与えているにもかかわらず、以前のように大きく報じられることはなくなりました。

どうか、忘れないでください。ウクライナでは今でも各地で砲弾が降り注ぎ、多くの民間人の命と生活が脅かされ、そして支援を必要としていることを。

 



教育支援 

難民の子どもたちの教育事情

学齢期の難民の子ども 1480万
その約半数は、学校に通えていません

UNHCRの2023年難民教育報告書*によると、学齢期の難民の数は1年前の1000万人から50%近く急増。推定51%、700万人以上の子どもたちが学校に通っていません。加えて、今も激しい攻撃に耐えるウクライナからヨーロッパに逃れている難民は約600万人にのぼり、 推定40%、 約250万人が子どもです。(2023年6月時点)

*UNLOCKING POTENTIAL THE RIGHT TO EDUCATION AND OPPORTUNITY

 

UNHCRの2023年難民教育報告書*によると、学齢期の難民の数は1年前の1000万人から50%近く急増。推定51%、700万人以上の子どもたちが学校に通っていません。加えて、今も激しい攻撃に耐えるウクライナからヨーロッパに逃れている難民は約600万人にのぼり、 推定40%、 約250万人が子どもです。(2023年6月時点)

*UNLOCKING POTENTIAL THE RIGHT TO EDUCATION AND OPPORTUNITY

教育へのアクセスで格差が明白。

世界の子どもと難民の子どもの就学率

難民の子どもの就学率、世界の子どもと難民の子どもの初等教育、中等教育総就学率のグラフ

出典:UNLOCKING POTENTIAL THE RIGHT TO EDUCATION AND OPPORTUNITY

世界の平均初等教育総就学率は、男子が103%、女子が101%であるのに対し、難民の初等教育総就学率はそれぞれ63%と61%に留まっています。中等教育でもこうした差は明らかで、男女ともに難民の就学率は世界平均の半分以下です。

*就学率が100%を超えているのは、留年している学生や就学できなかった年数の遅れを取り戻す学生など、本来の年齢より上の学習者がいるため

 

UNHCRの教育支援

学校は、避難を強いられた子どもたちに学びと心の安定、安全な場所を提供します。 支援を受けて学び続けることで、子どもたちは自分の未来を切り拓く力を身に付けていきます。

アフガニスタンのレフュジー・ハウジング・ユニット

学校や教育施設の建設

子どもたちの学びと心の成長をサポートするために不可欠な教室や学校施設を建設。誰もが教育を受けられるような環境を確実なものにしていきます。

【アフガニスタン・バダフシャン州の村】十分な学習スペースを提供するため、通常住まいなどに使われるレフュジー・ハウジング・ユニットを学校に設置

タンザニアのインスタント・ネットワーク・スクール

質の高い教育を提供するための革新的な支援

テクノロジーを活用し、難民の子どもたちがどこにいても質の高い教育を受けることができるよう支援しています。モバイルネットワークとデジタルリソースを使って、遠隔地にいる難民にも教育を提供。

【タンザニア】インスタント・ネットワーク・スクールは、デジタルコンテンツやインターネットへのアクセスを提供し、もっとも周縁化されたコミュニティで教育の質の改善に貢献

ケニアのカクマ難民キャンプの中学校

教師のためのトレーニングなどを支援

UNHCRは教育支援の一環として、教師のためのトレーニングや給料を提供。とりわけ生徒の心の健康をサポートするうえで重要な役割を担う女性教師を支援しています。

【ケニア】「当時は教科書が1冊しかなく、20人で使わなければなりませんでした」と、学生だった頃を振り返る南スーダン難民のアヤクさん。自身が育ったカクマ難民キャンプの中学校でインセンティブ教員に

※実施している支援の一例です



シェルター支援

私たちにとって、「家」とは何でしょうか。
住む場所、食べる場所、家族とくつろぐ場所、帰る場所、眠る場所……。
生きる上で、すべての基盤となる場所と言えるかもしれません。
難民にとって「シェルター」は、そうした役割を果たす、重要な意味を持っています。

緊急支援「まず、命を救う」

アフガニスタン地震で被災した母子
  • 一時滞在センター、集合シェルターの設置
  • 国境から難民キャンプ等への移送
  • 難民・国内避難民キャンプの設置・運営
  • 緊急シェルターの提供
  • 毛布、防水シート、ソーラーランタン等の配布

2023年10月、アフガニスタン・ヘラート州で大地震が発生した日、フマイラさんは朝に出産しクリニックから帰宅したばかりでした。赤ちゃんを抱いたまま土埃にまみれ、うずくまる彼女を見つけたのは家族でした。家は壊れ、その後2~3週間、一家は屋外で毛布とビニールシートだけの生活に。虫が入り込み、床や毛布は濡れて寒く、赤ちゃんはいつも泣いていました。その後、一家はUNHCRからテントや物資を受け取りました。「この新しいテントで、もっとスペースもでき暖かくなるでしょう」とフマイラさんは安堵しています。

中長期支援「長引く避難生活に対応」

スーダン難民の母子
  • 中長期の生活に適切なシェルターの提供
  • 老朽化したシェルターの補強・改修支援
  • 洪水や地震など災害に弱い場所で暮らす難民の移転のサポート

ブナイナさん(26歳)は、2023年にスーダンから子どもたちとチャドに逃れてきました。最初の4か月は、国境の間に合わせのシェルターで暮らすことを強いられました。その後、UNHCRの支援でチャドの難民キャンプに移動し、難民住居ユニット(RHU)の提供を受けました。ブナイナさんは、離ればなれになっている夫とも一緒に暮らせるよう願いながら、家の周りにフェンスや炊事スペースを作り準備しています。
※Refugee Housing Unit の略。より耐久性、安全性にすぐれ、カギもかけられるシェルター

都市部での支援「誰も取り残さないために」

ウクライナでシェルター支援を受けた男性
  • 爆撃で破壊された家屋の修復支援(シェルターキットの配布)
  • 集合避難所の整備(物資の供給、防寒用の改修、発電機の提供など)
  • 難民、国内避難民が家を借りるサポート、 家賃の補助

ウクライナ南部クリヴィーリフに住むセルヒーさん(57歳)の家は、2024年1月にミサイル攻撃を受けました。「何が起こったか分からず、必死でした。窓とドアが吹き飛ばされ、隠れようとして足をけがしました」。「生きているのは奇跡です。わずか数十秒の差でした。家はひどく壊れ、とどまることはできませんでした。外はマイナス10度で、屋根も窓もドアもないんです」。UNHCRから迅速に緊急シェルターや援助物資、心のケア等の支援を受けたセルヒーさんは、少しずつショックから落ち着き、家の再建を始めています。


数字で見る難民情勢(2023年)

2023年末時点で、紛争や迫害により故郷を追われた人の数は1億1,730万人。

2024年5月時点で1億2,000万人に達しました。

過去最大、12年連続の増加となります。

本ページの数値は、2024年6月にUNHCR本部が発表した年間統計報告書「グローバル・トレンズ・レポート 2023」から引用しています。 

 

紛争や迫害によって故郷を追われた人 1億1,730万人

難民(UNHCR支援対象者)3,160万人
難民(UNRWA支援対象者 )600万人
庇護希望者 690万人
その他の国際保護を必要としている人 580万人
国内避難民 6,830万人

 

18歳未満の子どもの割合— 40%


2023年末時点で故郷を追われた1億1730万人のうち、約4,700万人(40%)が18歳未満の子ども

 

難民の主な出身国・受入国



UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、 難民の命を守り、保護する機関です。
緒方貞子さんとルワンダ難民
ルワンダ難民を訪問する緒方元高等弁務官
UNHCRは、シリア・アフガニスタン・ウクライナなど世界中で家を追われた難民・国内避難民を支援・保護し、水や食料、毛布などの物資の配布や、難民キャンプなど避難場所の提供、保護者を失った子どもの心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991年から10年間、緒方貞子さんが日本人として初めてUNHCRのトップである国連難民高等弁務官を務めました。 
※紛争や迫害などのため命の危険があり、国外へ逃れた人を「難民」、国内で避難している人を「国内避難民」と呼びます。

寄付金控除

国連UNHCR協会へのご寄付は、
寄付金控除(税制上の優遇措置)の対象になります。



あなたのご支援でできること

13,000円のご寄付

急激に冷え込む夜の寒さから守る温かい毛布 10家族分

35,000円のご寄付

マスクやハンドソープ等が入った新型コロナ対策セット 10セット

60,000円のご寄付

家族を暑さや寒さ、風雨から守る家族用テント1張

※1ドル=106円換算

  • 当協会へのご寄付は、税控除(税制優遇)の対象になります。お送りする領収証は確定申告にご利用いただけます。
  • ご支援者の皆様にはメールニュース、活動報告等を送らせていただき、難民支援の「今」、そしてUNHCRの活動を報告させていただきます。
  • Webでご寄付いただく際の皆様の個人情報はSSL暗号化通信により守られております

*皆様のご支援は、UNHCRが最も必要性が高いと判断する援助活動に充当させていただきます。

X

このウェブサイトではサイトの利便性の向上を目的にクッキーを使用します。詳細はプライバシーポリシーをご覧ください。

サイトを閲覧いただく際には、クッキーの使用に同意いただく必要があります。

同意する