中央アフリカ共和国 世界で最も貧しい国の難民危機

最貧国の1つである中央アフリカ共和国では、国内の情勢不安により人口の3分の1が国内外で避難を強いられています

中央アフリカを襲う情勢不安

隣国チャドに押し寄せる中央アフリカ難民

2013年12月、武装グループ間の紛争により暴力が拡大、破壊と流血により数十万人が避難を余儀なくされている中央アフリカ共和国。
2020年12月27日に実施された総選挙の前後から暴力行為、政情不安がさらに深まり、74万1600人以上*が難民・庇護希望者として国境を越えて隣国カメルーン、チャド、コンゴ民主共和国等に逃れ、さらに推定45万人以上**が国内で避難を強いられています。加えて、隣国スーダンの武力衝突から逃れる難民が2万人以上到着しており、事態は混乱を極めています。
多くの人々が戦闘や政情不安、そして食料不足により人道支援を必要としている状況が続いている中、故郷への帰還を目指す人も徐々に増えてきていますが、避難を強いられている多くの人々にとって帰還は困難であり、今も安定しない治安の下で生きることを強いられています。(* 2024年7月、**6月現在)

長年に及ぶ政情不安と騒乱の中、避難を強いられる人々

逃れて来た人々の多くは、間に合わせのシェルターに留まっていますが衛生環境は万全ではなく、さまざまな感染症・伝染病を引き起こす恐れがあり、難民の命と生活を守る保護シェルター、そして水・衛生・保健対策が急務です。
また、人々の避難生活が数か月以上にも及ぶと、彼らは種まきの時期を逃してしまいます。それは、その年の穀物の収穫ができず、生計が立てられないのみならず、深刻な食料不足に陥ってしまうことを意味します。
情勢不安と暴力の中、何千もの人々が生きる糧を失い、食べ物も飲み物もなく、森の中を隠れながら避難を強いられています。そんな中、約110万人が無国籍者になる恐れがある、とも報じられています。


戦火を逃れ、国境を越える人々

栄養失調に陥る難民の子どもたち

祖母と共に隣国へ逃れ、厳しい避難生活を送るエーメちゃん

両親がいないエーメちゃん(4歳)は、2020年12月、大統領選挙直前の政府軍と武装集団の衝突により、祖母と共に隣国コンゴ民主共和国へ逃れました。しかし、避難先では生計を立てる手段はなく、緊急支援も不十分なため、一家は1日1回の食事にありつけるのがやっとの状態です。「食料が尽きたので、まだ食事を摂っていません。今日も仕事が見つかりませんし、食料はもう残されていません」とエーメちゃんの祖母は語ります。
中央アフリカは援助資金が最も足りていない地域の1つであり、エーメちゃんは、急性栄養失調に陥る何百人もの中央アフリカの難民の子どもたちの1人です。

家を焼かれ、カヌーで国境を越えた人々

国境を越えた川向うから、燃え尽きる家々を見る人々

「武装グループが全ての家を焼き払いました」と泣きながら語るローズさん(30歳)は、着の身着のまま戦火から逃れ、カヌーで川を渡り、隣国のコンゴ民主共和国へ逃れました。「もし平和が戻ってきても、帰る場所はありません。」
この時、ローズさんのように川を渡って避難した難民は6万人以上。そしてローズさんたちが命がけで逃れて来た隣国コンゴ民主共和国も、暴力行為により多くの人々が避難を強いられています。川からわずか1キロメートルしか離れていない彼女たちの故郷の村からは、未だに銃声が聞こえてきます。

動画:選挙に伴う暴力行為により避難を強いられる中央アフリカ難民

何十万もの人々が、時には水も食事もなく、森の中に潜み、川を渡り、何週間も歩き続け、必死で逃れています。避難を強いられた人々は、トラウマとなるような暴力を目撃し、高い確率で栄養失調にも苦しんでいます。UNHCRはこのような難民・避難民を支援するため、現地での活動を続けています。

UNHCRの支援活動

緊急支援
紛争や内戦などの緊急時において、UNHCRは、いかなるとき、いかなる場所でも、高度に訓練された緊急支援チームをいち早く現地に派遣。逃れてきた人々の命を守るための援助活動を開始し、テント、毛布、水、食料、医療、生活用品などの援助物資を供給します。
自立支援
紛争や迫害で故郷を追われた難民、避難民の避難生活は十数年に及ぶこともあります。長い避難生活の間、学校に行けなくなってしまった子どもや、家族を失い社会的・経済的弱者となってしまった女性、故郷に戻れず生計を立てられなくなった人々のために教育支援・女性支援・自立支援を実施します。

UNHCRによって実施された支援のかたち

難民キャンプで農園を手伝いながら通学するジェジット君(6歳)

難民キャンプ郊外の父親の農場で遊ぶジェジット君(6歳)

ジェジット君(6歳)の両親は2003年、故郷での戦闘を逃れ、隣国チャドに逃れました。避難後に誕生したジェジット君は難民キャンプで育ち、今はキャンプ近くの学校にも通っています。そんな彼の楽しみの1つは、父親の農業のお手伝いです。ジェジットの父親コパンさん(36歳)は、UNHCRの自立支援プログラムにより、今は農夫として働いています。

UNHCRは難民の保護・救援活動のみなら、未来を支える教育支援、そして自立支援や女性支援も実施しています。ジェジット君にとって、父親から農業の基本を教えてもらうことが、大きな喜びのようです。

夫を失いながら、助産婦として人生を再スタートしたアミナさん(38歳)

難民キャンプで暮らし、ヘルスセンターで働くアミナさん(38歳)

19歳の息子と10歳の娘である母親アミナさん(38歳)は、中央アフリカの紛争の中、夫を殺害され、隣国チャドに逃れました。UNHCRとパートナー団体の連携により、彼女は助産婦としてのキャリアを身につけます。
彼女は今、チャド南部の難民キャンプで家族とともに暮らし、とある村にあるヘルスセンターで難民と、そして地元チャドの人々のために働いています。彼女は、自分の新たなキャリアをとても誇りにしているようです。

UNHCRは教育機会を失ってしまった人々への識字教育から職業訓練といった自立支援、アミナさんのように、女性が生計を立てられるようになるための女性支援も実施しています。

増え続ける難民、支える資金が足りません

逃れて来た人々を難民登録し、手助けをするUNHCRスタッフ

UNHCRは避難民と受入国を支援するため、人命保護、緊急援助物資の提供等の支援を実施していますが、この国の危機に対する世界の関心はきわめて低く、中央アフリカ支援のための資金は、UNHCRの活動資金の中で最も不足しているものの一つとなっています。この緊急事態の中、多くの人々は生き延びるために必要な援助を受けることができていません。食料、医療、シェルター、そして水と衛生設備は、多くの難民、そして難民を受け入れる地域社会にとって、最重要課題となります。

UNHCRは、中央アフリカと周辺国での支援拡大のため、緊急事態を訴えています。

UNHCRとともに、人道危機に瀕した中央アフリカ共和国をご支援ください

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、 難民の命を守り、保護する機関です。
緒方貞子さんとルワンダ難民
ルワンダ難民を訪問する緒方元高等弁務官
UNHCRは、シリア・アフガニスタン・ウクライナなど世界中で家を追われた難民・国内避難民を支援・保護し、水や食料、毛布などの物資の配布や、難民キャンプなど避難場所の提供、保護者を失った子どもの心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991年から10年間、緒方貞子さんが日本人として初めてUNHCRのトップである国連難民高等弁務官を務めました。 
※紛争や迫害などのため命の危険があり、国外へ逃れた人を「難民」、国内で避難している人を「国内避難民」と呼びます。

私たちの活動に力をお貸しください

「最貧国」と呼ばれ、世界で最も援助資金が不足しているこの国の人々は、生き延びるための必要最低限な物資も受けられず、厳しい避難生活を送っています。どうぞ、彼らの命と希望を、私たちと一緒に支えてください。あなたの支援は、UNHCRが必ず届けます。

あなたのご支援でできること

※1ドル=149円換算

毎月1,500円のご寄付
1年で、マラリア等の感染症対策に不可欠な蚊帳 約60家族分
毎月3,500円のご寄付
1年で、暗闇の中でも食事や勉強ができるソーラーランプ 約9個分
毎月5,000円のご寄付
1年で、避難中でも家族と温かい食事がとれる、調理器具セット 約18家族分
  • 当協会へのご寄付は、寄付金控除(税制上の優遇措置)になります。お送りする領収証は確定申告にご利用いただけます。
  • ご支援者の皆様にはメールニュース、活動報告等を送らせていただき、難民支援の「今」、そしてUNHCRの活動を報告させていただきます。
  • Webでご寄付いただく際の皆様の個人情報はSSL暗号化通信により守られております

*皆様のご支援は、UNHCRが最も必要性が高いと判断する援助活動に充当させていただきます。

皆様からのご寄付によって 多くの命が助かります。
水・食糧の供給から住居、医療、教育まで、長期的に難民を 支えるには、毎月のご支援が欠かせません。ぜひ、ご検討ください。
水・食糧の供給から住居、医療、教育まで、長期的に難民を 支えるには、毎月のご支援が欠かせません。ぜひ、ご検討ください。
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